「計画」より「まず行動すること」で 自分らしく生きるヒントが見えてくる。 世界を学ぶこと・動くことを止めないで。

SDGs(エスディージーズ)を通して、今地球で起きている現状・危機をより多くの人に知ってもらいたい。そんな想いを持って、行動を続ける小島政行さん。SDGsは仏道につながる!?自ら学習し、行動をし続ける小島さんの素顔に迫ります。


(小島 政行さんプロフィール)
特定営利活動法人 プラスチックフリージャパン 代表。特定営利活動法人 鎌倉ユネスコ協会 理事。鎌倉にてSDGsみらい塾を開講するなど、多世代が「知る」機会と「アクションする」機会の提供をしている。

こんにちは。本日はよろしくお願いします。

小島 今日は、先日高校生向けにお話をした「はじめてのSDGs」という内容を活用しながら、SDGsについて皆さんの理解を深めながら、ご質問を受付するという形でもよろしいでしょうか?

すでにご用意を頂いたのですね。ありがとうございます。

小島 では早速ですが、SDGs(※)って日本でどのくらいの方が知っているかわかりますか?

(※)持続可能な開発目標(SDGs)とは、Sustainable Development Goals の略。貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指すため2015年に国連加盟国193か国の全会一致で採択されたグローバル目標。2030年までをゴールとし、17の大きな目標と、169のターゲットで構成されている。

……どのくらいでしょうね。半分くらいでしょうか?

小島 日本では14.8%と言われています。実は世界20か国の平均は51.6%です。まだまだ日本では知られていないのが現状です。

タイタニック号の沈没間近の写真をご覧になったことはありますか?宇宙船地球号は今まさにこのような状態ととらえています。つまり、一方は既に沈んでいて、一方はそれを知らずに生活を続けている。いつか沈んでしまうことを理解できていない。そのくらい危機感を私は持っています。

 

これはかなり衝撃的です。

小島 世界に目を向けると、76億人いる地球上で、22億人が太り過ぎで、8億人が飢餓状態にあります。学校に行けない子どもの人数は6,100万人です。世界の森林の50%はすでに消滅し、陸地面積の4分の1が砂漠化しています。

日本では、質の高い教育が進んでいると言われる一方で不登校の子供は1,250万人。増加傾向にあります。一人当たりプラスチックごみ排出量は世界2位。フードマイレージ(※)は、先進国1位。一方で、食品の売れ残りや食べ残しなどのフードロスは世界6位。日本での食料廃棄1,900万トンは約7,000人が1年間食べていける量に相当しています。

(※)食料の輸送による二酸化炭素の排出が環境に及ぼす負荷(地球の温暖化など)の程度を表す指標

具体的な数字で聞かされるとより説得力があるというか、身につまされます。

小島 こんな興味深いデータもあります。今の暮らし方を続けるには地球がいくつ必要か?

実は、今の日本の暮らしを続けるには地球が2.9個必要です。世界で見ても1.7個必要と言われており、明らかに持続不可能な状態で私たちは生きているということがわかります。

一体私たちはどうしていけばよいのでしょうか?

小島 地球1個分の暮らしをするということですよね。一人ひとりが立ち止まって考えること。もう素知らぬ顔はしていられない。2030年は生きていないからいいやではなく、全員が変革を起こす。突き詰めていくと、仏道にもつながっていくんですよ。

人は3つの馬鹿を持っています。それをまずは知ることですね。
1つ目は「諸行無常」。人は得たものを手放したくないとわがままになりますよね。それをその場にとどまらず、姿も本質も常に変化するものとする。
2つ目は「諸法無我」。自分さえよければではなく、すべては繋がりの中で変化しており、色々なものに支えられ、おかげさまでいきているということ。
3つ目は「一切皆苦」。苦とは自分の思い通りにはならないということ。

小島さんが仏様に見えてきました。話はそれるかもしれませんが、昔からそのような仏道に興味があったのでしょうか?小島さんの過去の経歴を教えていただけないでしょうか?

小島 もともとは大手時計メーカーで仕事をしており、電子回路の設計など技術職でした。エンジニアから管理職へと役割が変わっていく中で、何か自分のやりたいこととのずれを感じ、退職して自分で有限会社を立ち上げました。

書籍の出版をしたり、あるソフトウェアを日本で独占販売するために海外に交渉に行ったり、やりたいと思った衝動に駆られるとやりすぎてしまうくらい、ある意味わがままですね。

あとは自分の性格はストレングス・ファインダーという本に書かれているタイプでいうと、「学習欲」がぴったり当てはまります。学ぶことが好きで、学ぶプロセスに心惹かれる傾向にあります。ですので、家で読書をする時間が自分にとっては大事な時間です。

そうした中で仏道にもたどり着いたということなのでしょうか?

小島 そうですね。「Everyday Dharma」という本がとても好きで、大切にしています。ブッダの教えを読みながら実践するという内容で、この本を通して、人を助けることをより大きな視点で考える、いわゆる慈悲の心を学びました。生まれは横浜ながら、鎌倉を中心に活動しているのもその風土から選んだというのもあります。

私のような俗社会で目の前のことにおぼれている人間は、何から始めればいいでしょうか?

小島 難しく考える必要は決してありません。この世界について自分ごとで捉えて頂き、興味のあることを見つけて、今から行動してみてほしいです。「Think Global 、Act Local」です。自分が今正しいと思うことをやればいいと思います。そのために私は「範(はん)」する人を増やしたいと考えています。

「範(はん)」する人とは、模範となる人、率先垂範する人。知識を持ち、行動する人。活動することが楽しいことを知ってもらう機会を私は増やしていきたいと思っていますので、機会があればぜひイベント等にご参加ください。

ありがとうございます。今日小島さんのお話を伺い、改めて自分のありたい姿に対してまっすぐに生きているなと感じました。それが行動する原動力なのではないかと思ったのですが、他の方にアドバイスするならば、人生100年時代を豊かに自分らしく生きるためには何が大事だと思いますか?

小島 私の場合、自分の時間を失いたくないということには正直かもしれません。つまり、自分が無駄だなと思うような付き合いには時間を割きませんし、お酒を飲むのも辞めました。シラフではない時間は自分にとっては無駄に思えてしまうので。自分の使う時間を大切にするということにはこだわりがありますね。つまり、私にとってそれは、読書をする時間をとるということですかね。

なるほど。私のような凡人はすぐに酒を断つのはできないかもしれませんが。今日の飲み会本当に行く必要あるんだっけ?と少しとどまって考えてみることはできそうです。

今日のインタビューは以上です。貴重なお話をありがとうございました。

<インタビューを終えて>
SDGsで2030年までの目標となっていることは、逆を返すと何もしなければ2030年には様々な雪崩現象が起きるという危機であることを小島さんのお話で改めて認識しました。
そして、PDCAの「計画」ではなく、「まず行動しよう」と何度となくおっしゃる姿の背景に、ただSDGsが流行っているからとか、地域活性化のためにというレベルではなく、
「ありたい自分」「ありたい世界」を明確に持っているから、言動に力強さがあるのだと感じました。

インタビュー:山口 順平
写真:岩井田 優
編集:もりおか ゆか