過去の歴史も今までの自分もすべては先につながる財産。 いつでも“今”が最高に楽しい生き方を。
「時代ごとに楽しかったけれど、やっぱり“今”が一番楽しい!」と語る森功さん。茅ヶ崎の歴史や民話の話から、森さんが大切にしている人生の歩み方まで。茅ヶ崎に生まれて80年、出会った方みんなを笑顔にする!?森さんの魅力に迫ります!
(森 功さんプロフィール)
茅ヶ崎生まれ、茅ヶ崎育ち。大学卒業後、神奈川県農協経済連で定年まで働く。趣味は地域の歴史探索とギター演奏。
―こんにちは。本日はよろしくお願いします。森さんは昭和15年生まれだそうですね。
森 はい。昭和15年はのちに昭和の代名詞となる大相撲の大鵬や巨人軍の王貞治などと同世代です。
―森さんはどのような子供時代をここ茅ケ崎で過ごされたのですか?
森 かつての高田地区は名前の通り、一面田畑でした。今では団地や住宅でその面影はありませんが、我が家は田畑の中にポツンと建っていました。
そうそう「高南駅伝」って知っていますか?神奈川県内で最も古い歴史を誇る駅伝大会で、今も毎年一月に開催されています。今は茅ヶ崎市内を周るコースですが、昔は藤沢~寒川~茅ヶ崎を周るコースで、湘南地域の一大イベントだったんです。私も中学生の頃選手として走りました。
―高南駅伝のように昔から続いている話などいろいろ聞かせて頂けませんか?
森 そうですね。では「烏帽子岩」ってどこの地区の領分かご存知ですか?
―いやー考えたこともありません。どこの領分なんですか?
森 実は小和田の領分だそうです。
今から三百数十年前に当時の茅ヶ崎村と小和田村が漁のことで争ったことがあるそうです。その時、漁場を分けるために烏帽子岩を見通して引かれた境界線を道として残し村の境目としたんですね。それが今のラチエン通りです。ラチエン通りの先には烏帽子岩が見えるのはその理由からなんですね。
―偶然道の先に烏帽子岩が見えたのではなく、しっかりと理由があったんですね。こういった話を地域の人たちにもっと知ってほしいですね。
森 歴史を知るとその土地のことが色々とわかってきます。知れば知るほど面白いですよ。
例えば今住んでいる地域がなぜそのような名称になっているのか?漢字を見ると見えてくることがたくさんあります。みなさんも地域のことに関心があるのであれば、まず地名をみてみましょう。いろんな発見がありますよ。
その土地ごとに古くから伝わる民話も多く残っています。「赤羽根のたぬき塚」「何時橋の幽霊」「弁慶塚物語」「室田の花火」など。こうした民話からも地域を知ることができます。興味深く、面白いですよ。昔からこういった地域の歴史が好きなんです。
―人生100年時代と言われていますが、森さんはいつの時代がよかったと思いますか?
森 その時代ごとに楽しかったけど、そりゃ“今”が一番楽しいですね!
―“今現在”ですか?それはどのような理由でですか?
森 今は時間に余裕ができたし、年相応に経験も積みました。若い人も含め、新たな出会いがとても楽しくなりました。今は誰であっても気を遣わずに接することができますし、遠慮もしません。こういう考え方は粗削りな若い時には出来なかった。今だからこそ出来ることですね。
それから、人から与えられる喜びより、人に与える喜びの方が何倍も幸せを感じるということにも気づきました。様々な人達と会話をするのがなにより楽しく、お酒を飲みながらいろんな年代・職種の人たちと宴をしています。
―現役時代にこれをしておけばよかったな!ってこと何かありますか?
森 後悔があるとすれば、もっと“英語”を勉強しておけばよかったなということですね。“英語”を話せればもっと色々な国の人たちと話しができたのに。まあ今現在も片言英語とジェスチャーで何とかコミュニケーションしていますけどね(笑)
―最後に、現役世代に向けてなにかメッセージはありますか?
森 若い人たちへ。その時々の思い出、気持ちや感情をとりあえずメモに残しておくことをお勧めします。それが後の財産になるはずです。みんな先を見て計画するでしょ?でもそれ以上に過去に何があったかを踏まえて計画することが大事。先ばっかり見ていると見失っちゃうよ。
それともう一つ。自分の考えや意見を変える“勇気”をもってみましょう。自分の考えをしっかりと持つことは大事です。ですが、時には周りの意見も柔軟に取り込むことも必要です。考えを変えてもいいんです。変えながら成長していくことが大事だと考えています。
―貴重なお話ありがとうございました。以上でインタビューを終わります。
森 なんだかあっという間に終わってしまったね。人生と同じだな。楽しいまま終わってしまうくらいがちょうどいいな。また懲りずに遊びに来てください。
<インタビューを終えて>
いつ行っても笑顔で出迎えてくれて、周囲を明るくしてくれる森さん。
今回計2度に渡るインタビューから100年ライフを楽しむ秘訣が垣間見えた気がしました。
一つ目は「常に前向きな姿勢」、二つ目が「新たなことにチャレンジする精神」、最後に「こだわりの中にある柔軟さ」です。人生をエンジョイするための秘訣として現役世代の我々もこの気持ち、非常に大事だと実感させられたひとときでした。
インタビュー:高橋 浩美、中村 容、戸田 雄輔
写真:畑中 剛司
編集:もりおか ゆか